「万が一のとき、家族が揉めないように遺言書を作っておきたい」と考える方が増えています。
遺言書の中で、もっとも手軽で費用がかからないのが、自分で紙に書く「自筆証書遺言(じひつしょうしょいごん)」です。しかし、実はこの自筆証書遺言、法律で決まったルールを1つでも破ってしまうと、せっかく書いても丸ごと無効になってしまうリスクがあります。
この記事では、行政書士が「法律的に正しく、後から揉めない自筆証書遺言の書き方」を分かりやすく解説します!
1. 自筆証書遺言の「絶対ルール」はこの4つ!
自分で遺言書を書く場合、民法という法律で定められた以下の4つのルールを必ず守る必要があります。どれか1つでも欠けると無効になります。
- すべて「自筆(手書き)」で書くこと
パソコンでの作成や、音声・動画での遺言は認められません。必ず自分の手でペンを握って書いてください。 - 正確な「日付」を記載すること
「令和◯年◯月◯日」と正確に書きます。「令和◯年◯月吉日」のような、日が特定できない書き方は無効です。 - 「署名(氏名)」を自筆すること
誰が書いたかを明確にするため、戸籍通りの正確な氏名を書きます。 - 「押印(認め印でも可)」をすること
署名の後ろなどに、必ずハンコを押します。実印である必要はありませんが、後々のトラブルを防ぐためにも実印(またはお気に入りの認め印)を推奨します。
💡 2019年の法改正でラクになったポイント!
以前はすべて手書きが必要でしたが、法改正により「財産目録(どの銀行にいくらあるか、土地の場所など)」のページだけは、パソコン作成や通帳のコピーの添付でもOKになりました。ただし、その目録のすべてのページに「署名」と「押印」が必要です。
2. 【見本】失敗しない遺言書の文例
一番シンプルで揉めにくい文例をご紹介します。書くときは、誰に・何を相続させるかを「誰が見ても一発で特定できるように」書くのがコツです。
遺言書
遺言者 〇〇〇〇は、以下の通り遺言する。
1. 遺言者は、その所有する下記の不動産を、妻である〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。
(ここに登記簿通りの「所在・地番・地目・地積」などを正確に記載)
2. 遺言者は、〇〇銀行〇〇支店の下記の預金口座にある預貯金全額を、長男である〇〇〇〇(平成〇年〇月〇日生)に相続させる。
(口座種別・口座番号を記載)
令和〇年〇月〇日
住所:〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号
遺言者:〇〇 〇〇 (印)
3. 後から揉めないための3つの注意点
①「相続させる」と「遺贈する」を使い分ける
法定相続人(妻や子どもなど)に財産を渡すときは必ず「相続させる」と書いてください。「あげる」「譲る」といった曖昧な表現や、法定相続人以外(孫や知人など)に渡すときの表現(遺贈する)と混同すると、後の手続きがスムーズにいかなくなる原因になります。
② 遺留分(いりゅうぶん)に配慮する
遺言書を使えば、誰にどの財産を渡すかは自由に決められます。しかし、配偶者や子どもには、法律上「最低限もらえる財産の取り分(遺留分)」が保障されています。
「長男にすべての財産を譲る」といった極端な内容にすると、遺言書自体は有効でも、後から家族の間でドロ沼の返還請求トラブル(遺留分侵害額請求)に発展するため注意が必要です。
③ 保管場所をどうするか
自筆証書遺言は、自宅の引き出しなどに隠しておくと「見つけてもらえない」「都合の悪い親族に破棄・偽造される」というリスクがあります。
安心な方法として、法務局が遺言書を預かってくれる「自筆証書遺言書保管制度」を利用するか、あるいは最初から公証役場で作成する「公正証書遺言」を選ぶのが確実です。
4. まとめ:確実な遺言書を残すならプロへの相談が近道
自筆証書遺言は手軽な反面、書き方のミスで無効になったり、内容の偏りで家族の仲を引き裂いてしまったりするリスクが隣り合わせです。
当事務所では、お客様の想いがしっかりと大切な家族に伝わり、100%法的に有効な遺言書作成(公正証書遺言のサポートや文案作成)をお手伝いしています。「何から書けばいいか分からない」「自分の財産内容だとどう分けるのがベスト?」とお悩みの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。



コメント