事業承継

建設業許可申請

「そろそろ息子に会社を譲ろうか」「現社長が引退して、新しい経営体制に移行したい」

建設会社の事業承継(社長交代)を進める際、税金や自社株の引き継ぎと同じくらい、あるいはそれ以上に注意しなければならないのが「建設業許可の維持」です。

実は、何も知らずにただ代表者を変更してしまうと、「せっかくの建設業許可がその日で失効してしまう」という最悪の事態を招きかねません。今回は、建設業の事業承継で絶対に知っておくべき重要なポイントを解説します。


1. なぜ社長が変わると許可が消えるリスクがあるのか?

建設業許可を維持するためには、常勤の役員の中に「経営業務管理責任者(通称:経管・けいかん)」の要件を満たす人が最低1人は会社にいなければなりません。

多くの企業では、現社長がこの「経管」を兼任しています。そのため、現社長が引退して完全に籍を抜いてしまうと、「会社の中に経営の要件を満たす人が誰もいなくなる=許可要件を満たさなくなり失効」となってしまうのです。

2. 要件を満たす後継者を「育てる」には時間がかかる

後継者(例えば息子さんなど)が新しい社長になって、そのまま「経管」を引き継ぐためには、原則として以下のいずれかの経験が必要です。

  • 建設業の法人の役員(または個人事業主)としての経験が5年以上
  • 役員に次ぐポジション(執行役員など)での経営経験が5年以上

つまり、「来月から社長を交代するから、息子を新社長にして許可を引き継ごう」と思っても、その息子さんに役員としての経営経験が5年以上なければ、その瞬間にバトンタッチはできません。

3. 許可を途切れさせずに事業承継する「3つの方法」

では、どのようにして安全に次の世代へ会社を引き継げばよいのでしょうか?主な対策は以下の3つです。

対策 具体的な進め方
① 計画的に「役員」として登記しておく 将来の事業承継を見据え、後継者を5年以上前から取締役(役員)に就任させておき、経営経験のカウントを稼いでもらいます。これが最も王道で確実な方法です。
② 現社長を「取締役」として残す 代表取締役は後継者に譲るものの、現社長には「平の取締役(常勤)」として会社に残ってもらい、経管のポストを維持し続けます。後継者の経験が5年に達した段階で、現社長が完全に引退します。
③ 「事前認可申請」を活用する(法人の場合) あらかじめ行政庁に「このような体制で事業承継します」という認可申請を行い、承認を得ることで、許可を途切れさせることなく組織再編や交代を行う制度もあります。(※要件が非常に厳しいため専門家への確認が必須です)

4. 忘れてはいけない「専任技術者(専技)」の存在

経営者(経管)だけでなく、社内の技術的な責任者である「専任技術者(専技)」が引退する社長だった場合も同様に危険です。後継者や他の社員が、必要な国家資格や実務経験(10年など)を持っているかを事前に必ず確認しなければなりません。


行政書士からのアドバイス
建設業の事業承継は、「社長を辞める日」になってから動いたのでは手遅れになります。数年前からの計画的な準備が必要不可欠です。
「うちの息子に引き継ぎたいけど、今の経歴で大丈夫か?」「いつ役員に登記すればいいのか?」など、少しでも不安がある方は、まずは一度当事務所にご相談ください。許可を守りながら次の世代へバトンを繋ぐ最適なロードマップをご提案いたします。

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