建設業許可を維持するための2大トップ、「経営業務管理責任者(経管)」と「専任技術者(専技)」。
「うちは社長が経管で、ベテラン社員のAさんが専技だからバッチリ!」と安心していませんか?しかし、人生何が起こるか分かりません。もしも、そのキーマンが突然退職してしまったり、病気で倒れてしまったり、あるいは不幸にも亡くなってしまったら……会社はどうなるのでしょうか?
結論から言うと、何の準備もしていない場合、「建設業許可は即座に取り消し」という最悪の事態を迎えることになります。今回は、万が一の時に会社を守るための緊急対策と、日頃からやっておくべき備えを解説します。
1. キーマン不在は「即・許可取り消し」の対象
経管や専技は、建設業許可を受けるための「絶対条件(要件)」です。そのため、これらの者がいなくなった(要件を欠いた)場合、法律上、直ちに許可の取り消し処分の対象となってしまいます。
猶予期間があると思われがちですが、「後任を探すために3ヶ月待ってくれる」といったルールは原則としてありません。後任がいない状態になったその日から、500万円以上の工事を受注することはできなくなります。
2. 万が一、いなくなってしまった時の「2つの緊急対策」
「昨日、専技のAさんが急に辞めてしまった!」という緊急事態が発生した場合、次の2つの方法で許可の維持を試みます。
| 対策 | 具体的な進め方 |
|---|---|
| ① 社内から「要件を満たす後任」を即座に探す | 他の役員の中に「5年以上の経営経験(経管の要件)」を持つ人がいないか、あるいは他の社員の中に「必要な資格や10年の実務経験(専技の要件)」を持つ人がいないかを徹底的に調べます。 【重要】前任者がいなくなった日と、後任者が要件を満たした日に「1日も空白がないこと」が条件です。 |
| ② 一度「一部廃業」し、最短で再申請する | 例えば、複数の業種(大工、内装、左官など)を持っていた場合、いなくなった専技が担当していた業種だけを諦めて「一部廃業」届を出すことで、他の業種の許可だけは生き残らせることができます。その後、後任を確保して再度「業種追加」を狙います。 |
3. 会社を守るために、今すぐできる「2つの事前対策」
トラブルが起きてから動いたのでは手遅れになります。経営者が今すぐやるべきリスク管理は以下の2つです。
- 「2番手(バックアップ)」を計画的に育てておく
→ 将来の後継者候補を今のうちから取締役(役員)に登記しておき、経管の経験(5年)をカウントさせておく。また、他の社員に国家資格を取得させるための費用を会社が補填するなど、専技の替えが効く状態を作ります。 - 「実務経験の証明書類」を日頃から保管しておく
→ 資格を持たない社員を実務経験(10年)で専技にする場合、過去10年分の「注文書」や「契約書」が必要になります。これらを「過去の書類だから」と処分せず、いつでも証明に使えるようにファイリングしておくことが重要です。
行政書士からのアドバイス
経管や専技の不在トラブルは、建設業を営む上で最も重いリスクの一つです。実際に「専技が辞めてしまい、元請けからの仕事が全てストップしてしまった」というご相談をいただくことも少なくありません。
「うちの今の体制で、もしもの時に代わりになれる人はいるか?」「過去の書類で実務経験を証明できるか?」など、少しでも不安を感じた方は、手遅れになる前にぜひ一度専門家へご相談下さい。



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